不動産の相続を考える皆様にとって、とても気になるキーワードである「資産価値」
「そんなに大切なものなのか?」「どうやって資産の価値を見分けるのか?」初めて相続を考える場合は判らない部分も多いと思います。
しかし、一見同じ価値に見える様な不動産であっても、20年後には数百万以上の資産の開きがでてしまいます。
資産価値について
なぜそんなに「資産価値」が大事か
不動産は人が住まう住宅としての役割や、様々な経済活動のための土地及び建物としての役割として有効活用されてこそ、効用を果たします。
たとえば住宅を購入した場合、「一生ここに住みたい」と思うものの、通勤に便利だと思っていたら夫の職場が転勤になったり転職したり、子供が結婚して家を離れたり、実家の都合で実家の近くで住まなくならなくなったりと、人生にはどんな変化が訪れるかわかりません。
引っ越しの際に住宅を売却して新たな住宅を購入するとすれば、少しでも高額で売却できた方が良いでしょう。
居住用や事業用に自分で使用するにしても、資産運用を目的として賃貸して投資を行ったりするにしても、その不動産の正確な価値を正確に評価する事は大切です。
不動産の評価といえば「固定資産評価額」、「路線価」、「公示価格」の3つ指標があります。
公的な指標なので数値資料としては明確です。
しかし実際に取引される時価である「実勢価格」は実に不明確です。
住宅として利用するのであれば本人のライフスタイル、生活環境、家族環境を加味したインスピレーションが本人にとっての「資産価値」になるでしょう。
資産価値は高そうだが、職場や実家からは遠方であったりして周辺環境は良くてもそこに住む事はあり得ない様であれば、住宅用地としての価値はありませんし、賃貸等の不動産の有効活用も煩わしい様であれば売却した金額が資産価値といえるかもしれません。
「資産価値」の高い不動産の概要
「都心へのアクセス」「商業施設の充実度」「医療関係施設の充実度」「学校等へのアクセス」などを先ず思い浮かびますが、他の要素が街全体の魅力を生み、「資産価値」に大きく影響を及ぼす場合もあります。
率直に「皆が住みたいと憧れる街」は間違いなく「資産価値」が高いでしょう。区画整理が施行され区画が整然としていて、都心にありながら緑が多い第一種低層住居専用地域などは皆の憧れであり土地の坪単価は高くなり「資産価値」も高いでしょう。
由緒ある御屋敷街として昭和の時代から継承されている「高級住宅街」は高台の土地に建てられ、街の代名詞になっています。
地山で地盤が固くて日当たりも良く、水害や地震に強いため将来に渡って安全を確保できると考えられてきたからです。
この様な成熟した街は売買される物件も少なく、希少性という観点からも「資産価値」は高くなる傾向があります。
郊外でも魅力的な分譲地があります。
昨今は駅から何分以内の物件と郊外との格差は極端に広がるといった情報もありましたが、今後のテレワークに普及によって情勢は一変するかもしれません。
緑に囲まれた遊歩道や綺麗な公園が近くにあるなど、絵になる風景が周辺にある様なエリアは住民の美観保持に対する意識も高く、街をあげて地区計画等により建築制限や植栽の保持等の規約を設けるなどしており、景色が地域住民を楽しませてくれます。
周辺地域における今後の社会経済状況によっては時代を超えてゆるぎない資産価値を有していくかもしれません。
魅力的な歴史的背景がある街もブランドとして人気があります。
街には、城下町、宿場町、門前町、寺内町、港町、開拓地といった歴史があり、武家屋敷、財閥や高級軍人といった富裕層が住んでいた場所や、歴史上の偉人や知識人が住んでいた街は、所々にその名残が街並みに残っていますし、街のイメージも良いでしょう。
歴史のある地域の花火大会やお祭りも地域の誇りでしょうし、普遍的な「資産価値」を共有している地域住民も多いでしょう。歴史の重みがそのまま「資産価値」に調和しているといえます。
「資産価値」が下がる要因
「固定資産評価額」、「路線価」、「公示価格」、「実勢価格」と類似的な要素もありますが、異なる観点からも「資産価値」が下がる要因があります。
「現地調査」は不可欠です。弊社の様な専門業者が調査を実地すれば正しい情報を精度良く提供できるので更に安心でしょう。
「資料調査」で地理的なマイナス要因の確認や、登記簿で土地の「地目」と併せてその土地の過去の履歴によってもその土地の評価は変わります。同じ様に見える土地であっても完全所有権と第三者の権利が付着している土地では大きく評価は異なります。
「法律関係の調査」も必須です。
個別性の高い土地は「都市計画法」、「建築基準法」、「農地法」など様々な不動産関係法規、更には都道府県や市町村の「条例」や「開発指導要綱」等の規制が幾重に覆い被さっており、その内のたった1つの規制を見逃しただけでもその土地の「資産価値」を大きく見誤ってしまいます。
下記に「資産価値」が下がる代表要因です。
(1)「現地調査」で確認できる要因
- 土地の境界が判らない。
- 土地の正確な面積が判らない。
- 土地の実測面積と登記簿の面積に大きな相違がある。
- 隣接地と境界に関して紛争がある。
- 土地の面積が中途半端である。(1区画としてしか利用できない等。)
- 形が悪い(正方形、長方形ではない不整形地)
- 周辺の土地と比較して明らかに広い土地。(500㎡以上など。)
- 隣接地との高低差が大きい。(2メートルを超えている。)
- 道路との間に高低差がある。
- 崖や傾斜地である。
- 前面道路が狭い。(4メートル未満である。)
- 道路に接する長さが短い。
- 私道にしか接していない。
- 前面道路が袋道路である。
- 土地の一部が私道や通路になっている。
- 空中に特高圧線や高圧線が通っている。
- 線路に接している。
- 水路や池に接している。
- 工場に接している。
- お墓に接している。
- 騒音、悪臭等、周囲の住環境が悪い土地。
(2)「資料調査」で確認できる要因
- 周辺に産業廃棄物処理場関連施設がある土地。
- 周辺にパチンコ店等がある土地。
- 土壌汚染がされている土地。
- 土地の地目が「宅地」ではない。
- 土地の地目が以前は「田」、「池沼」、「ため池」、「墓地」等であった。
- 「賃借権」、「地上権」、「地役権」、「抵当権」等が登記されている。
(3)「法律関係の調査」で確認できる要因
- 都市計画区域外である。
- 農業振興地域である。
- 市街化調整区域である。
- 計画道路等、都市計画予定地である。
- 容積率の異なる地域にまたいでいる。