土地家屋調査士の業務と関連して、建築士が建築に関する法令又は条例に基く手続の代理として行う業務に開発許可申請・建築許可申請等の手続きがあります。これらの申請手続きは最終的には建築確認申請・各種設計審査を通過し建築基準法による完了検査・各種完了検査に合格することを前提として申請手続きを進めなければいけません。それぞれ独立した申請手続きではなく、合理的に繋がっていなければいけないのです。
重要になってくるのは各種手続きの担当行政窓口の把握と知識に基づいた包括的な判断です。名古屋市は指定都市、豊橋市、岡崎市及び豊田市は中核市、一宮市及び春日井市は特例市、瀬戸市、半田市、豊川市、刈谷市、安城市、西尾市、小牧市、稲沢市及び東海市は事務処理市であり、開発許可事務は、この区域内においては、それぞれの市長が行います。その他は愛知県の各建設事務所が行います。
以下 御問い合せの多い、市街化調整区域内で「住宅」を建築するための審査基準を紹介します。
概要は全国共通であり、愛知県の開発申請基準と同様ですが、詳細な部位に関しては指定都市、中核市、特例市(「指定都市等」という)及び事務処理市においては、それぞれ独自に許可等の基準、申請書の提出部数、申請手数料を定めている場合がありますので、該当する市へ確認が必要です。
分家住宅
開発審査会基準(農家等の世帯構成員が分家する場合の住宅等)
従来より市街化調整区域において継続して生活の本拠を有する農家世帯に代表される世帯が、その世帯の通常の分化発展の過程で必要とする住宅の確保のための開発行為又は建築行為で、申請の内容が次の各項に該当するものとする。
1 許可を受ける者の範囲は、次の各号の該当するやむを得ない事情にある者であること。
①原則として、市街化調整区域において当該市街化調整区域決定前から継続して生活の本拠を有する農家等の世帯構成員であったもの(原則として3親等以内の血族)であること。
②結婚その他独立して新たに世帯を構成する者、又はいわゆるUターン等当該土地において世帯を構成する合理的事情にある者であること。
2 申請に係る土地は、次の各号のいずれかに該当するものであること。
①原則として、既存の集落内にあり、又はそれに隣接する土地であって、農家等が市街化調整区域決定前から所有していた土地(所有していた土地が農用地区域内にある場合等住宅を建築することが好ましくないとして市街化調整区域決定後に交換等により取得した土地については、市街化調整区域決定前から所有していたものとみなす。)であること。
②原則として、大規模な既存集落として市長が指定した集落に市街化調整区域決定前から継続して生活の本拠を有する農家等の分家住宅を当該指定既存集落内において建築する土地であること。
3 開発又は建築を行うために他の法令による許認可等が必要な場合は、その許認可等が受けられるものであること。
付 記
本基準に該当するもののうち、開発区域の面積又は敷地面積が500平方メートル以下(路地状部分を除く。)のものは、開発審査会の議を経たものとみなす。
市長は、許可したものについて後日の開発審査会に報告するものとする。
大規模な既存集落として市長が指定する集落
市長が指定する集落は下記のとおりとする。
記
次の各号に該当する独立した一体的な日常生活圏を構成している集落であって、原則として農用地区域等積極的に保存すべき区域を除いた区域とする。
1. 当該集落内には、小・中学校、鉄道の駅若しくはバスの停留所、日用品店舗、旧町村役場、病院若しくは診療所等の社会生活にかかるいずれかが存すること。
2. 原則として、市街化調整区域内においておおむね200以上の建築物が連たんしていること。
3. 当該集落に係る戸数密度が、当該市街化区域に係る計画戸数密度とほぼ同程度のあるものであること。
審査基準
1. 申請者は、本家たる者の後継者以外の者であることを、戸籍謄本等で判断できること。ただし、申請者が本家の隣接地であって、敷地面積が本家の面積と合計して500平方メートル(本家が農家のときは1,000平方メートル)以下である等の土地利用上やむを得ない状況であることを添付図書で判断できるときは除く。
2. 原則として、本家たる者(本家たる者の同居親族も含む)が市街化区域に住宅建築の可能な土地を所有していないことを、本家たる者等の名寄帳により判断できること(申請地が大規模既存集落の要件のとき)。
3. 予定建築物は、専用住宅(第1種低層住宅専用地域で建築できる用途の兼用住宅も含む)であることを、建物平面図等で判断できること。
4. 申請者は、次の全てに該当する者であることを、戸籍謄本及び戸籍の附票等の書類で確認できること。
(1) 本家たる者の3親等以内の血族である者
(2) 本人又は本人の親が、市街化調整区域決定前に、当該市において本家たる者と同居していた者(申請地が大規模既存集落の要件のとき)
(3) 原則として、現に配偶者等との世帯を構成している者(許可後1年以内に新たに配偶者等との世帯を構成することが明らかな者も含む)
(4) 現に持ち家が無い者(持ち家があっても、狭小等の理由で新たな住宅を必要とすることを理由書その他の図書で示されている者も含む。)
5. 申請地は、次のいずれかに該当する土地であることを、土地登記簿、戸籍の附票等で確認できること。
(1) 本家たる者が、市街化調整区域決定前から所有(市街化調整区域決定後の相続によって取得したときも含む。)している土地
(2) 市街化調整区域決定後に交換等により取得した土地のときは、本家たる者が市街化調整区域決定前より交換前の土地を所有し、交換後は交換後の土地を継続して所有している土地。相続による所有権の移動の判断は前号に準じる。
(3) 本家たる者が市街化調整区域決定前から継続して居住する大規模既存集落の土地。ただし、以下の項目のいずれかに該当するときは、本家たる者が市街化調整区域決定前から継続して大規模既存集落に居住しているとみなす。
①大規模既存集落内において法第34条第9号又は収用移転の要件の許可を受け建築等がなされた住宅に、建築後、継続して居住しているとき
②市街化調整区域決定前に大規模既存集落内で建築確認等の申請をして建築等がなされた住宅に、市街化調整区域決定後1年以内から居住しているとき
③転勤等のやむを得ない事情により、一時的に他所へ転居していたとき
④その他、やむを得ない事情により、1年以内の期間、他所へ転居していたとき
6. 原則として、申請者は申請地を取得することが申請地の売買契約所の写し等で確認できること(申請地が大規模既存集落の要件によるとき)
7. 本家が市外の場合は、申請地は、本家と連たんした土地又は本家等が所有する耕作地が申請地周辺にある等、本家その他と申請地に地縁的関係があること
8. 開発もしくは建築を行うために必要な他の法令による許認可をうけている又は受ける見込みがあることを、当該許可書の写し等で判断できること。
やむをえない自己用住宅
開発審査会基準(既存集落内のやむをえない自己用住宅)
いわゆる既存集落であって当該都市計画区域に係る市街化区域における建築物の
連たんの状況とほぼ同程度にある集落において建築することがやむを得ないものと
認められる自己用住宅のための開発行為又は建築行為で、申請の内容が次の各項に
該当するものとする。
1. 申請に係る土地は、次の各号のいずれかに該当するものであること。
(1) 原則として、既存の集落内にあり、またはそれに隣接する土地であっ て、許可申請者において市街化調整区域決定前から所有していた土地(所有していた土地が農用地区域内にある場合等住宅を建築することが好ましくないとして市街化調整区域決定後に交換等により取得した土地については、市街化調整区域決定前から所有していたものとみなす。)であること。
(2) 原則として、大規模な既存集落として市長が指定した集落に市街化調整区域決定前から継続して生活の本拠を有する者が、当該指定既存集落内において自己用住宅を建築する土地であること。
2. 自己の居住の用に供する原則として1戸の専用住宅であり、これにふさわしい規模、構造、設計等のものであること。
3. 現在居住している住居について過密、狭小、被災、立ち退き、借家等の事情がある場合等、社会通念に照らし新規に建築することがやむを得ないと認められる場合であること。
4. 開発又は建築を行うために他の法令による許認可等が必要な場合は、その許認可等がうけられるものであること。
付 記
本基準に該当するもののうち、開発区域の面積又は敷地面積が500平方メートル以下(路地状部分を除く。)のものは、開発審査会の議を経たものとみなす。
市長は、許可したものについて後日の開発審査会に報告するものとする。
大規模な既存集落として市長が指定する集落
市長が指定する集落は下記のとおりとする。
記
次の各号に該当する独立した一体的な日常生活圏を構成している集落であって、
原則として農用地区域等積極的に保存すべき区域を除いた区域とする。
1 当該集落内には、小・中学校、鉄道の駅若しくはバス停留所、日用品店舗、旧町村役場、病院もしくは診療所等の社会生活に係る施設のいずれかが存するこ と。
2 原則として、市街化調整区域内においておおむね200以上の建築物が連たんしていること。
3 当該集落に係る戸数密度が、当該市街化区域に係る計画戸数密度とほぼ同程度にあるものであること。
審査基準
1 原則として、市街化区域に住宅建築の可能な土地を所有していないことを、名寄帳より判断できること(申請地が大規模既存集落の要件のよるとき)。
2 予定建築物は、専用住宅(第1種低層住居地域で建築できる用途の兼用住宅も含む)であることを、建物平面図等で判断できること。
3 申請者は、次の全てに該当する者であることを、戸籍謄本等で確認できること。
(1) 現に持ち家がないことを住民票・名寄等で示されている者
(2) 持ち家はあるが狭小等のやむを得ない理由で新たな住宅を必要とすることを理由書その他の図書で明示されている者
(3) 原則として、現に配偶者等との世帯を構成している者(許可後1年以内に新たに配偶者との世帯を構成する事が明らかな者も含む。)
4 申請地は、次のいずれかに該当する土地であることを、土地登記簿、戸籍の附票等で確認できること。
(1) 申請者が市街化調整区域決定前から所有している土地。ただし市街化調整区域決定後の相続により申請地を取得しているとき(他の相続人と相続によって共有し たときも含む。)は、申請者が市街化調整区域決定前から所有しているとみなす。
(2) 市街化調整区域決定後に交換等により取得した土地のときは、申請者が、市街化調整区域決定前より交換前の土地を所有し、交換後は交換後の土地を継続して所 有している土地。当該地を相続により申請地を取得しているときの判断は前号に準じる。
(3) 申請者が市街化調整区域決定前から継続して居住する大規模既存集落内の土地。ただし、以下の項目のいずれかに該当するときは、申請者が市街化調整区域決定前 から継続して大規模既存集落に居住しているとみなす
①大規模既存集落内で法第34条第9号又は収用移転の要件の許可を受け建築等がなされた住宅に建築後、継続して居住しているとき
②市街化調整区域決定前に大規模既存集落内で建築確認等の申請をして建築がなされた住宅に、市街化調整区域決定後1年以内から居住しているとき
③就学又は転勤等の理由により、一時的に他所へ転居していたとき
④その他やむを得ない事情により、1年以内の期間、他所へ転居していたとき
5 原則として、申請者は申請地を取得することが、申請地の売買契約書の写し等で確認できること(申請地が大規模既存集落の要件のよるとき)。
6 開発若しくは建築を行うために必要な他の法令による許認可を受けている又は受ける見込みがあることを、当該許可書の写し等で判断できること。
「住宅」の敷地拡大
開発審査会基準(既存住宅の増築等のやむを得ない敷地拡大)
敷地を拡大し、既存住宅を増築又は改築するための開発行為又は建築行為で申請の内容が次の各項に該当するものとする。
1 原則として、既存住宅は、都市計画法に基づく許可を受けた者が自己の居住の用に供する1戸の専用住宅であること。
2 現に居住している既存住宅が、過密または狭小であり、敷地を拡大し増築又は改築することがやむを得ないと認められるものであること。
3 拡大する敷地は、既存住宅が建築されている敷地の隣接地とし、その面積は、増築または改築される住宅にふさわしい規模のものであること。
4 増築又は改築される住宅は、自己の居住の用に供するものとしてふさわしい規模、構造、設計等のものであること。
5 開発又は建築を行うために他法令による許認可等が必要な場合は、その許認可等がうけられるものであること。
付 記
本基準に該当するもののうち、開発区域の面積又は敷地面積が、既存の敷地と併せて500平方メートル以下(路地状部分を除く。)のものは、開発審査会の議を経たものとみなす。
市長は、許可したものについて後日の開発審査会に報告するものとする。
審査基準
1 既存住宅は、都市計画法に基づく許可(大規模開発団地及び審査会基準(既存宅地の確認)の適用による許可等を除く。)を受けた者が自己の居住の用に供している1戸の専用住宅(審査会基準(分家住宅)(やむを得ない自己用住宅)の規定により許可を受けた第1種低層住居専用地域に建築できる用途の兼用住宅も含む。以下、この基準において同じ。)又は既存住宅の土地若しくはその要件のある土地に建築されてから10年以上経過している1戸の専用住宅であることを、次の書類のいずれかで確認できること。
①開発又は建築等の許可書の写し
②土地登記簿
③家屋証明
④その他公的書類
2 現に居住している既存住宅は、過密又は狭小等のやむを得ない理由により、敷地を拡大して増築又は改築することを、理由書その他の図書で判断できること。
3 申請地は、既存住宅の隣接地であって、その面積が増築又は改築される住宅にふさわしい規模であることを、土地利用計画図等の図書で判断できること。
4 予定建築物は、自己の居住の用に供するものとしてふさわしい規模、構造及び設計であることを、建物平面図その他の図書で判断できること。
5 開発若しくは建築を行うために必要な他の法令による許認可をうけている又は受ける見込みがあることを、当該許可書の写し等で判断できること。
やむを得ない用途変更
開発審査会基準(相当期間適正に利用された住宅のやむを得ない用途変更)
原則として、都市計画法に基づく許可を受けて建築された後、相当期間適正に利用された住宅のやむを得ない事情による用途変更で、申請の内容が次の各項に該当するものとする。
1 原則として、建築後10年以上適正に利用された1戸の専用住宅が、社会通念上やむを得ない事情により譲渡され、それを譲り受けるものが自己の居住用として使用すること。
2 住宅を譲り受ける者の現在居住している住居について過密、狭小、被災、立ち退き、借家等の事情があること。
3 用途変更後の住宅は、原則として1戸の専用住宅であること。
付 記
本基準に該当するもののうち、敷地面積が500平方メートル以下(路地状部分を除く)のものは、開発審査会の議を経たものとみなす。
市長は、許可したものについて後日の開発審査会に報告するものとする。
審査基準
1 原則として、用途変更前の建築物の用途は、許可を受けた1戸の専用住宅であること。
2 用途変更の理由は、許可を受けた者の破産(破産手続き開始の決定)、死亡、失踪、遠隔地への転勤又は競売等の客観的にやむを得ない理由若しくは状況であることが、理由書その他の図書で明らかにされていること。
3 本号の該当の判断について、開発審査課内部の協議を経て、見込みがあるとされていること。
4 申請者は、現在の住宅に過密、狭小、被災、立退き、借家等の事情があって、新たな住宅が必要であることを、理由書その他の添付図書のより示されていること。
5 用途変更後の用途は、1戸の専用住宅(第1種低層住宅専用地域で建築できる用途の兼用住宅も含む。)であることを、建物平面図等の図書で判断できること。
6 開発もしくは建築を行うために必要な他の法令のよる許認可を受けている又は受ける見込みがあることを、当該許可書の写し等で判断できること。
「既存宅地」での建築
開発審査基準(既存宅地の確認を受けた土地等での建築行為及び開発行為)
改正前の都市計画法第43条第1項第6号イ及びロの要件に該当する旨の確認を受けた土地又は受けられる土地における建築行為及び開発行為で、申請の内容が次の各項に該当するものとする。
1 予定建築物の用途は、第1種低層住宅専用地域内に建築することができる建築物であること。
2 開発区域の面積は、5ヘクタール未満のものであること。
3 予定建築物の高さは、10メートル以下とする。
4 原則として、一戸建て住宅の一画地の最低面積は160平方メートルとする。ただし、開発行為で開発区域の面積が3,000平方メートル以上の場合は、200平方メートルとすること。この場合、土地利用上やむを得ないと認められるときは、全体区画数の2割を超えない区画について160平方メートルとすることができる。
5 長屋建住宅及び共同住宅にあっては、駐車場が適切な配置及び駐車台数により設けられるものであること。
6 開発行為等を行うために他法令による許認可等が必要な場合は、その許認可等が受けられるものであること。
付 記
本基準に該当するもののうち、開発区域等の面積が3,000平方メートル未満のものは、開発審査会の議を経たものとみなす。
市長は、許可したものについて後日の開発審査会に報告するものとする。
審査基準
1 改正前の都市計画法第43条第1項第6号イ及びロの要件に該当する旨の確認を受けられる土地は次の書類から市街化調整区域決定前から宅地利用されていることを判断できる土地とする。
・土地登記簿
・建物登記簿または家屋証明書
・その他の公的許可書又は証明書
2 予定建築物の用途は、第1種低層住居専用地域内に建築する事ができる建築物であることを、建物平面図等の図書で判断できること。
3 開発区域の面積は、5ヘクタール未満であることを、測量図その他の図書で判断できること。
4 予定建築物の高さは、10メートル以下であることを、建物立面図その他の図書で判断できること。
5 1区画の最低面積は、開発審査会基準第16号第4項に該当することを、土地利用計画図その他の図書で判断できること。
6 予定建築物の用途が長屋または共同住宅のときは駐車場を設け、原則として、区画1戸当たり1台の割合の駐車台数が確保されていることを、敷地現況図その他の図書で判断できること。
7 開発若しくは建築を行うために必要な法令による許認可を受けている又は受ける見込みがあることを、当該許可書の写し等で判断できること。